事務局からのお知らせ

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昨年9月より始まった「パッケージ型アートワークの提案」実践ワークショップ。
この実践ワークショップは、医療・福祉施設に対してヘルスケアアートの企画提案を行なう際のマネジメントの一部を体験するワークショップとして昨年9月に第一回を開催、以来1カ月に1~2回のペースで計6回のワークショップを開催しました。(場所:名古屋市立大学 ミッドタウン名駅サテライト)

ヘルスケアアートの多くは、病院や福祉施設などからご依頼をいただき設置する、いわばオーダーメイド方式で導入されます。それによって現場のニーズや環境に合わせてこまやかな対応ができますが、金額や内容が分からない不安感や、関係各所との検討や調整などがご負担になることもあるかと思います。
そこで、このワークショップでは、いくつかのヘルスケアアートについて内容や費用などを明記した提案書(ヘルスケアアートカタログ)を制作し、医療・福祉施設にご覧いただいてアンケートやヒアリング調査を行ない、それらの活動を通じて、受講生の皆さんにアートマネジメントのプロセスの一部を体験して学んでいただいています。

第2回(2019年10月17日)~第6回(2020年1月29日)の活動をご報告します。
(第1回(2019年9月11日)の記事はこちら(←リンク))

10月17日(第2回実践ワークショップ)

受講生によるアート企画の発表1

第1回開催時に配布した共通のフォーマット(企画シート)を使って、坂本さん、佐藤さん、田中さん、永山さん、山本さんの5名がそれぞれ企画の発表を行ない、出席者全員で感想を述べたり、意見交換を行ないました。

10月24日(第3回実践ワークショップ)

受講生によるアート企画の発表2

加藤さん、中野さん、宮田さんの3名からそれぞれ企画の発表を行ない、17日と同様に意見交換を行ないました。

2回にわたって企画の発表を行なってみて、受講生はヘルスケアアートの提案を行なうにあたっての難しさをそれぞれ実感されたようです。
受講生の皆さんが感じた「難しさ」は
〇医療・福祉施設の「現場」について外からはわからないことが多いこと
〇ヘルスケアアートを実施する対象施設や施設の課題が定まらない状況下で、ある程度の普遍性と具体性が企画に必要になること。
〇専門分野や意識、目的が異なる受講生が、同じフォーマットで企画を進めること。
の3つの大きな要因が壁となっているように思われました。
そこで、第4回のワークショップでは、2つの少人数グループに分かれ、ヘルスケアアートの実践に関し経験豊富な彫刻家の高野さん、アーティストの小野さんの2人にファシリテーターとして議論をリードしていただくとともに、医療施設で勤務されている受講生の坂本さん、佐藤さんには医療関係者としての立場から逐次ご意見やアドバイスをいただきながら企画を深める作業を行なうことにしました。

11月27日(第4回実践ワークショップ)



2グループに分かれてのアート企画の検討

この日の前半は、上記の趣旨で、2グループに分かれてそれぞれの企画の深化や練り直しにつながる議論を行ないました。

高野さんのグループは、空間を彩り、季節を感じていただいたり五感を優しく刺激することで、患者さんに安心感を与えたり単調な療養生活の活力を高めていただける企画を考えたグループ。個々の企画についての議論とともに、それぞれの企画を組み合わせてストーリー性のある大きなプランに発展させる可能性も検討されました。

小野さんのグループは、ものづくりや表現などの体験を通じて入院患者さんやスタッフなどの楽しみや癒しとなることを目的としたアート企画を考えたグループ。小野さんが企画者自身の得意分野や専門知識、ご本人の希望を確認しながら、今回のパッケージ企画にまとめるアドバイスをされました。

この日の後半は、それぞれのグループ内での議論の結果を全員で共有し、企画を完成させるための課題をそれぞれ持ち帰ることとなりました。

12月12日(第5回実践ワークショップ)

課題の発表と提案書作成について

前回の第4回のワークショップでそれぞれ持ち帰った宿題の発表を行ない、企画を実現するための材料や完成イメージ、費用などについて検討しました。
その後の議論では、医療・福祉施設に実際に見ていただく提案書の作成に向けて議論が行われました。

1、その企画のアピールポイントは?病院にとっての意義・効果を明確にできるか?
2、ヘルスケアアートに病院から導入予算を計上していただくにはどんな方法があるか?

1については、医療現場に勤務される受講生からは「現場のニーズに合った、患者に利益のあるものとして提案しなければお金は出ない。例えば事故防止や地域の評判につながるなど、病院経営に役立つアートですよ、という論点が必要。そして、患者さんを巻き込むには、看護師さんの心をつかみ、看護師さんに味方になっていただくことが必要。感染防止の理由付けも必須。」という意見をいただきました。鈴木先生からは「アートありきではなく、目的のためにアートを活用するという視点が大切」というご発言もありました。

2については、日本国内では、医療施設の新築工事や増築工事の機会にしか、アートにかける予算が組まれにくいという現状があります。「パッケージ型のアートというものが受け入れられるものなのかどうか。新築や増築の機会以外の病院での予算の付き方の現実を踏まえ、受け入れられる仕組みにするには、どんな提案要素が必要なのか。そこをヒアリング調査したい」と、今後の取組の中で探求していくこととなりました。

その後、提案書に掲載する内容をデザイナーおよび運営関係者で検討した上で、事務局から提案書に掲載する各企画の内容項目を、受講生の皆さんにメールでお願いし、企画名やキャッチコピー、内容、費用などを提出いただきました。
提案書には、パッケージ化されたアート企画の紹介のほか、「ヘルスケアアートとは何か」を説明する必要もあり、そういった内容の検討もしながら、
各アート企画の内容を次の視点から、再編集しました。
・金額やアピールポイントを明確にする
・分かりやすい言葉で表現する
・カタログ全体として統一感のある表現にする

1月29日(第6回実践ワークショップ)



5回のワークショップを通じて完成した企画を掲載した提案書(ヘルスケアアートカタログ)のデザイン表現について、議論をしました。
ヘルスケアアートの企画内容(テキスト)が見やすく、理解を助けるデザインであるため、受講生の皆さんとともに
・キャプションの付け方
・目次の見せ方
・「環境改善」「体験」など、企画の要素を表すアイコンの設置
・手に取りやすく読みやすい判型
など、様々な視点から改善案を話し合っていただきました。
また、医療・福祉施設にお送りするアンケートの項目についても、ひとつひとつの設問の趣旨がアンケート協力者に適切に伝わる表現になるよう、改善点を話し合いました。
この話し合いを通じて、「カタログは、どういった方々に、何を伝えたいのか」「アンケートは、誰を対象に、何をお訊ねしたいのか」について、より明確にすることができました。

提案書(ヘルスケアアートカタログ)は2020年2月中に名古屋市内の4病院に提出し、ヒアリング調査を行なう予定です。
また、昨夏に開催された連続講座の受講生で医療関係にお勤めの方、そしてこれまで鈴木賢一研究室でヘルスケアアートを実施させていただいた医療機関等約150の施設や医療関係者にアンケートをお送りし、調査にご協力いただく予定です。
次回は、その結果をご報告したいと思います。(藤井)