ガイドブック発行に向けて 意見交換会
2019年度WSのふりかえりとガイドブック意見交換会を開催しました。
この記事では、ガイドブックについての言及をまとめます。
※カタログのWS振り返りはこちらにまとめています。
ヘルスケアアートWS振り返り&ガイドブック意見交換会
日 時:2020.6.13
場 所:オンライン会議ツールzoomにて
参加者:山本さん、三ツ川さん、山名さん、永山さん、佐藤さん、山崎さん、常盤さん、坂本さん、香川さん(以上受講生)、鈴木教授、高野さん、小野さん、森田さん、事務局の伊藤と寺井(以上スタッフ)
(1)これまでの成果
ガイドブックについては、2019年度も受講生をまじえて3回にわたって検討しています。
⇒ガイドブックワークショップ 第3回開催しました
ヘルスケアアートとは何かを考えるために事例を収集し、ガイドブックのありかたを議論しました。
- ヘルスケアアートに関するたくさんのキーワードが抽出できた
- ヘルスケアアートとは何か?に欠かせない条件の議論ができた
- 3年間の積み重ねを「なごや宣言」としてガイドブックに込めるアイデアが生まれた
(2)ガイドブック目次案(鈴木教授による5/22案より)
この日は、まず鈴木教授からガイドブックの目次案を提示しました。
なごやヘルスケアアート宣言2020
はじめに
ガイドブックの構成
ヘルスケアアートマネジメント推進事業について
A.ヘルスケアアートマネジメントの最前線
(これまでの各講師の話の記録と、学ぶべきポイントを要約して掲載します。この記事では項目のみ)
1.ヘルスケアアートの考え方と実際
1-1医療におけるアート
1-2日本の先駆的取り組み
2.療養生活と環境
2-1小児の療養環境
2-2高齢者の療養環境
3.英国のヘルスケア
3-1英国のヘルスケアアート
3-2英国のアートディレクター
4.日本のアートマネジメント
4-1日本のアートディレクター
4-2 アートのプロデュース
4-3 学芸員とアート
5.ヘルスケアアートを支える組織
5-1 NPOによる支援
5-2 学生によるアート制作
6.ヘルスケアアートの新たな取り組み
6-1 建築デザインとアート
6-2 新しいアートの取り組み
B.ヘルスケアアートマネジメントの企画、実践、評価
(事業で行ってきたワークショップでの取り組みと関連活動の企画、実践、評価)
1.老人施設でのアートイベント
2.アートカタログの作成
3.ヘルスケアアート展
4.参加型ヘルスケアアート(東部医療センター)
5.私の思うヘルスケアアート
C.関連情報
(ヘルスケアアートに取り組むための情報)
1.Creative Health Inquiry Report 2017
2.関連団体
3.関連書籍
4.関連研究
鈴木教授からの補足
- アートマネジメントの方に踏み込んだもの。しかしアートマネジメントの専門家ではないので、どれくらい踏み込めているか心配。
- これまで全国での主要な方々に講師になっていただいたので、それを生かしたものにしたい。時系列ではなく分類に分けて編集してはどうか。
- ワークショップで皆さんから気づかされたこともあったので、論点を整理したものにしたい。
- 最初に置いている「宣言」は、まだ中身はなし。今後更新すればよいので「2020」。こうしたアドバルーンを打ち上げた方がいいのではないかと考えていて、いくつかの言葉とともに印象的なビジュアルで構成したい。
(3)ガイドブック目次案に対する意見交換
知ってもらうためのビジュアルブックと、
詳しく知りたい人のためのガイドブック
山本さん:なごや宣言が一般の人に認知され、行動指針になるといいですね。ちゃんとしたガイドブックも必要だと思いますが、事例集、カタログに寄せたようなもの、ヘルスケアアートを並べただけのものもよいのではありませんか。
運営伊藤:鈴木先生の提示される目次案は読み物としてですね。ビジュアルの力も大きいと思っています。ガイドブックWSで「あなたの思うヘルスケアアート」の事例をたくさん集めましたが、たくさんの事例を集めたコンテンツも欲しいと感じてます。
香川さん:ビジュアルだけだと、あのおしゃれなやつだねって言われてしまいそうです。エビデンス、研究も紹介することは大事ではないでしょうか。
山名さん:初めて見た方にも、ただおしゃれなものだけで終わらずに、意味あるものだということが伝わるようにしたいですね。
永山さん:わたしが一番欲しいのは、ヘルスケアアートを紹介するシンプルなものですが、興味を持ってもらった方には、エビデンスなどを詳しく紹介できるガイドブックも欲しいです。欲張りかもしれないですが。
紙がいいか、Webがいいか
坂本さん:紙ベースと、検索できるウェブ版と、両方あると医療現場は助かります。スタッフは異動しますので。
永山さん:まったくヘルスケアアートを知らない人に説明するときは、紙ベースがとても便利です。もっといろいろ見られないの?と聞かれることがよくあります。
三ツ川さん:対象のすみわけがされているといいかもしれないですね。レベル感だけでなく、医療者の方向けや、アーティスト向け、なども。
だれでも無料で手作りできるアートと、
プロのアーティストによる質の高いアート
佐藤さん:桜シールに取り組んだあと、院内の壁が汚れているところに職員が折り紙を花の形に切って貼っていました。事例集やカタログをみて、お金をかけずに真似できるものがあるといいなと感じます。レクリエーションの質が上がるような、どんな病院でもできるような。
鈴木先生:佐藤さんみたいな方がお一人いるだけで、その病院への影響力が大きいですね。自分たちでやれることはやっていく、たとえるなら百均でそろられるアートもよいのですが、一方では質の高いアートを入れられるようにしたいという思いがあります。質の高いのをあきらめて手作りにしちゃう、自分たちでできることだけでいい、ということもあるでしょうが、これまでできなかったクオリティの高いものも目指していただきたいのです。その中に身近なこんなものもヘルスケアアートだよねと掲載して、ヘルスケアアートのハードルを下げたいとも思っています。
山本さん:島津さんの講義で聞いた参加型のアートを思い出します。子どもの絵はチープとはいわないですが、それをプロがしつらえると本当に素敵なアートになっていました。素材作りは気軽に、低予算でもできて、それをアートにしていくキーマンがいれば、質の高いアートになるのだと。
山崎さん:佐藤さんがおっしゃっていた、無料でもできることがあればという話で、私はレクリエーションインストラクターもしていて、心を元気にする楽しい時間が過ごせるものなのですが、日本レクリエーション協会のHPでは情報を無料で公開しています。材料も百均などで手に入るものです。一方で私は連続講座をずっと受けてきて、プロがやることの大事さも感じてきています。どういった線引きや差別化ができるのか、考えています。
鈴木先生:イギリスでは資格があるわけではないということを聞いて、気が楽になりました。しかし病院でマネジメントしていくのに必要な知識などをガイドブックでは示したいと思います。
(4)ガイドブック制作に向けた展望
みなさんからの意見も受けながら、事務局で検討しました。
現在、ブックレット(小冊子)を3つ作っていることもありますので、鈴木教授が提示された目次案を二つに分け、さらに2つのブックレットを発行する方向で考えています。そして余力があれば、さらにもう1つ、事例集の役割を担うブックレットの発行も検討しています。つまり最大で6つのシリーズとなり、それを大きく「ガイドブック」としようかと考えています。
同時に、ウェブ上での事例集サイトの構築を検討スタートしました。こちらは連続講座第2回のオンライン交流会でも協力を呼びかけながら、事例を集めて紹介する方法について考えていきます。
なごや宣言については、12月に予定しているシンポジウムでの発表をめざします。具体的な制作などは秋からとなります。