11月29日 厚生院での顔合わせでした
話は前後しますが…
受講生の皆さんとのワークショップ(WS)が始まる前、事務局メンバーは実施場所となる名古屋市厚生院さんを訪れ、事前の打ち合わせを行っていました。当初より今年度のWSを厚生院さんで行いたい旨お伝えし、内諾はいただいていたのですが、アート活動を実際にするとなると施設管理の方や現場の看護師さんなどを交えて具体的な調整が必要となります。電話やメールのやり取りはあったものの、皆さんとの顔合わせはこの日が初でした。おそらく厚生院さんとしても「アートといっても一体どんなことを…」と不安に感じられる部分があったと想像します。
ヘルスケア・アートの事務局からは、「厚生院さんにおけるアート活動案」という資料で目的と参加者、スケジュール、アート活動内容案、実施体制を示しました。アート活動については、空間アート、作品展示、体験イベント、施設広報といった例をまとめた「療養環境におけるアート活動事例」という資料も用意し、説明をしました。
厚生院さんからは率直に「アートというのは壁にペンキで色を塗るようなものをイメージしていた」という声もいただき、事前に制作したアートを設置することも可能であることや、屋内だけでなく屋外でもよいこと、そのほか日頃の困りごとを解決するのに役立つ施策でもよいような話をしました。(こうした提案については私たちも夏の連続講座で学んだことが多々あり、やりとりに役立てられたと実感! 連続講座の講義内容は随時HPの事例集にアップしていきます)
厚生院さんとこの日にどのような話ができるかドキドキしながらの顔合わせでしたが、入所者の方の状況を具体的にうかがったり、実施期間に予定されている活動をうかがったりと、具体的な情報交換ができました。
たとえば…
・壁にペンキを塗ることについては、においがどうしても気になるという話があった。(壁面アートについてはほぼ無臭の塗料を使用しているため問題なく思うという話をしたが、スタッフの方々の抵抗感が強くあるようだったので今回の場合は推奨しづらいと感じた。また長時間にわたり生活スペースの中で作業場を確保することも好ましくないように感じた)
・高齢者の多い施設であることを考慮してほしいという話があった。たとえば認知症の方に効果のあることはないだろうか?(そういったアートがあることは私たちも認識しているが、受講生とともに検討したいとお伝えした)
・寝たきりの方が多く、天井を見ている時間が長い。まぶしいし、殺風景である。何かできないだろうか? 自由に歩ける人はほぼおらず、他の方も車椅子やストレッチャーでの移動である。(これも厚生院の特徴として、何か考えたいと思う)
・入所者の方が日頃楽しみにしていることは、入浴時間である人は多いと思われる。(楽しみな時間がもっと楽しくなる工夫はいいですね。連続講座中のやりとりで、受講生からも入浴時間に関するアイディアは出ていたことをお伝えした)
・1月初中旬は新年のイベントで鏡開き、1月末は節分で豆まきイベント、2月末は七段のひな飾りを講堂の檀上に飾るイベントがある。(イベントにからめた催しを考えるのはよさそうである。春を感じられるイベントや手作りグッズのプレゼントなどもいいですねという話をした)
・ひな祭りは女性のイベントというイメージがあるため、男性が楽しみになるという視点がほしい。(なるほど…)
・打ち合わせなどは平日の日中が行いやすい。
ひな祭りイベントに関連し、会場になる講堂を利用したコンサートや展示会などのイベントはどうかという話をするとスタッフの方々の反応が上々でした。講堂は入所者やスタッフさんの日頃の活動スペースではなくイベント時のみ利用する場所であるため、アートの展示があっても邪魔になりづらく、作業時間も確保しやすいということなのです。
早速、当日のうちに講堂を案内いただくことにしました。
けっこう広い空間で、ステージがあり、窓も多くて明るい空間です。壁にはピクチャーレールもあって壁面に飾りをすることも可能そうでした。カラオケもありますよ! とのことで、プロジェクターや音響の設備もあるようです。
こうしたスペースがあることが分かり、時期的にも「ひな祭り」「春」に加えて「高齢者」といったテーマを柱にして、ワークショップのアートを考えていくことになったのでした。
アートマネジメントの推進事業をするにあたって、運営委員の先生方から「この事業をどうやって進めていくかを考えることそのものがマネジメントです」という話を聞いており……なるべく記録を書き留めねば! と思う事務局なのでした。(寺井)