12月19日 企画WS開催しました
ヘルスケアアートマネジメントに関する実践の前段として、企画に関するワークショップ(WS)を開催しました。今後、2~3月に向けて名古屋市厚生院の中でのアートワークに取り組んでいくため、この日も希望を聞いたうえで厚生院を対象として企画することにしました。
大きな流れとしては、ヘルスケア・アートの幅広いあり方、可能性、また患者や入所者の抱える課題について学んだあと、事務局から厚生院における実践WSの概要説明をしたのち、3つのテーブルに分かれて「アイディア記入シート」に企画を書き出していきます。
参加者は19名(女性が14名)でした。
※SNSやHPを通して呼びかけたこともあり、連続講座から続けてのご参加が17名
名古屋市立大学によるヘルスケア・アート活動の導入プロセス、体制、内容
最初に、高野真悟さん(彫刻家、名古屋市立大学大学院芸術工学研究科 博士後期課程)を講師として、名古屋市立大学の鈴木研究室で行ってきた活動を、導入プロセスや実施体制、方法といった企画に関する切り口で報告をいただきました。これは高野さんが研究論文としてまとめられた内容をもとにしているため、統計的な裏付けもあってとても詳細な導入プロセスをうかがうことができたと思います。
後半は、研究室内の活動にとどまらない、外部のアートマネジメントの専門家と協働したプロジェクトの報告もあり、受講生からは具体的な質問も受けていました。
高齢者が施設で暮らすこと
次に、鈴木賢一先生( 名古屋市立大学大学院芸術工学研究科 教授)を講師として、厚生院を意識して、おもに高齢者が利用する病院や福祉施設での事例について話していただきました。高野さんの事例と違って厳しい現実、落差について、建築的な問題や施設の集団生活で起こるストレスやギャップなどの報告がありました。
次回以降の実践WSで厚生院を訪れていく際の心構えにもなったと思います。
グループに分かれてヘルスケア・アートの企画、アイデア出し
厚生院の特徴やヒアリング結果から、このような話題をあらかじめお伝えしました。
・対象は高齢患者であること、認知症や身体的な介助の必要な方が多いこと
・時期的に2月末のひな祭りイベントに関連する内容が受け入れやすそう
・大人数が入ることができ、イベント時のみ利用している講堂は自由なアート活動がしやすそう
また今回のWSは「アートマネジメント」を大きな柱としているため、「アーティストと現場の橋渡し役」という視点も意識してもらえるようお伝えしています。アート活動は自身が行う以外にも、作家や業者への発注も可能です。
企画を考える際の資料としては、高野さんがまとめられた「ホスピタルアートの分類」という資料や、事務局がまとめた「療養環境におけるアート活動事例」という資料も受講生に渡しました。これは壁面アートや彫刻の設置といったよく見受けられる院内のアートのみがヘルスケア・アート活動ではないことをよく表していると思います。
(実際に資料を厚生院スタッフさんに見てもらったところ、「壁面アートだけだと思っていた」「イベントや施設のサイン計画もアートなんですか」というような声をもらったのです)
グループごとに企画案の発表
企画アイディアは、各グループで共通するものもあれば、異なる視点もありました(後日発表ポスターをアップしたいと思います)。「一人ひとりが参加してみんなでつくりあげる」という視点が最も大きなアイディアだったと思います。ほか、「ダンスや演劇など見て楽しめるものを」「視覚だけでなく、においや音を効果的に」といった、高齢者を意識したものも多く上がりました。
企画アイディアを書いてくださいといって、数分のあいだで各受講生から2~3のアイディアが書き出される様子をみて、受講生の皆さんはやはりヘルスケア・アートの分野に意識が高く熱心であるし、連続講座でたくさんインプットしてきたうえでのアウトプットの機会となり、いよいよここからどう皆さんの「アート」が現実になっていくのか、楽しみに感じました。これまでも連続講座では毎回「課題シート」に感想や生かしたいことを書いてもらっていましたが、企画を書き出すのは全く違う形です。事務局も初めての試み。皆さんと一緒に前進していきたいと思います。
引き続き、実践WSの初回の様子もレポートしていきます。(寺井)