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名古屋市科学館にて、2019年11月30日~2020年2月16日まで開催されていた、チームラボの企画展「チームラボ 学ぶ! 未来の遊園地と花と共に生きる動物達」を見学しました。今回はそのレポートです。

最先端のデジタルアートを体験

ある総合病院のスタッフさんブログに、「2018年にオープンした新しいデジタルアートの美術館に、視察に出かけた」という記事があったことに興味を覚えました。

それは森ビルとチームラボが共同運営している「MORI Building DIGITAL ART MUSEUM: EPSON teamLab Borderless」(チームラボ ボーダーレス)というもので、「約1万平方メートルという広大な敷地、520台にもおよぶ巨大なコンピュータと約470台のプロジェクター」(美術手帳より)と聞くだけでもすごそうですが、写真を見ると、これまでにみたことがないような不思議で刺激的な空間であることが分かりました。

規模や内容はさまざまにアレンジされて企画展としても全国で見られるようで、名古屋にもやってきていたのです。私はヘルスケアアートの参考になればと見学に行ってきました。展示は評判がよく混み合っていて、休日は入場制限があって2時間待ちとなることもあったそうです!

チームラボとは
アート集団。2001年から東京大学大学院生を中心に活動を開始。集団的創造によって、アート、サイエンス、テクノロジー、デザイン、そして自然界の交差点を模索している、学際的なウルトラテクノロジスト集団。アーティスト、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、数学者、建築家など、様々な分野のスペシャリストから構成されている。
チームラボは、アートによって、人間と自然、そして自分と世界との新しい関係を模索したいと思っている。…(詳しくはこちら

展覧会の様子と、アートの内容

名古屋市科学館の地下が会場で、チケットを手に入場すると真っ暗な通路。左の壁面に花や動物をイメージした映像が流れていました。カーテンを開けると次の空間は四角い部屋でした。


まだ かみさまが いたるところにいたころの ものがたり


壁に映る映像のさまざまなモチーフは、来場者が同じく投影される象形文字を手で触れることによって現われます。例えば「手で山という文字に触れる」→「山という文字が山のビジュアルに変化する」といった具合です。象形文字はゲームの画面のように、天井から落ちてきて、触れられないと消えてしまいます。この仕組みが分かるとついつい文字を触りに体を動かして、触ると何かが現われることに満足します。とても美しい映像でした。

次の部屋に移ります。



グラフィティネイチャー - 山と谷、レッドリスト


広い空間に3つの作品が展示されていました。

上の写真は、レッドリストに登録されている生物がプリントされている用紙に、来場者がおのおの好きな色を塗り、スキャンすることによって、空間に自分の描いた生き物が投影され、動くという作品でした。その空間が丘のようになっていることもあり、一般的な「スクリーンに映し出される映像」とは全く異なる空間体験ができました。また動物たちは、人が歩き回って触れることによって花となり散っていったり、食べる・食べられるの関係で変化したりしていました。

描いた動物が映されて動き回るだけでも「どういう技術なんだろう」と思いますが、触れると変化するインタラクティブな仕掛けも加わっていて、ますます「よくできているな~」などと感心して見ていました。歩き回る人々に映像が当たることで、観客すらも作品の一部になっている気がしました。


すべって育てる!フルーツ畑


上の写真は子どもに大人気のアトラクション(?)になっていた大きな滑り台です。滑りおりると軌跡が投影されます。大人もOKで、私も一度だけ滑らせてもらいましたが、子どもと違って重い分、しっかり滑ってしまいました!(笑)近くにはもう一つテーブル状の小さな作品もありました。

再びカーテンを開けて隣の部屋に移ります。


光の森でオーケストラ


こちらは一見してどういう仕掛けがあるのか分かりませんでしたが、丸い光の玉を手でやさしく叩くことで、音が鳴り、光の色が変化するものでした。下に置いてある卵状のものも、天井にぶら下がる風船状のものも、同じ仕掛けでした。壁面が鏡になっていたので、広大な空間を演出していました。床はやわらかいマットでした。


お絵かき水族館


最後の部屋は、再び、生き物に色を塗り、スキャンして投影させる作品でした。水族館がテーマで、私は混み合っていたので描きませんでしたが、自分の描いたものはすぐに見つかったのでしょうか? とても大きな「水槽」でした。

共創を楽しむ体験

この展覧会のテーマは、「共創を楽しむ体験」でした(学ぶ!未来の遊園地について)。以下に一部抜粋させていただきます。

チームラボのアートの「人々の関係性を変化させ、他者の存在をポジティブな存在に変える」可能性にフォーカスを当てることによって、往々にして個人的になりがちな創造的な活動を、他者と互いに自由なまま、共創的な活動に変えることができるのではないかと考えているのです。
共創を楽しむ体験によって、日々をより共創的なものへ変えていけるのではないか、そのような思いから「学ぶ!未来の遊園地」というプロジェクトは生まれました。

もし、チームラボが病院全体にアートを企画したら

ここからは見学した私、寺井の個人的な感想です。

チームラボの作品は、水や植物や動物など自然をモチーフとするものが多いようですが、例えば「森の中で遊ぶ」としたら、実際に「森に出かけて体験」してもいいわけです。それを都会のビルの中で、デジタル技術によって体験するとはどういうことだろうと考えました。

仮想体験によって、実際に体験することよりもドラマティックな体験ができたり、本来自然の中では滅多に出会えないようなものと出会えたりするでしょう。また自らの空想にその場であたかも命を吹き込んだような演出ができたり(色を塗ってデザインした生き物など)、仲間と一緒に生き物を増やしたり……といったことが、デジタルでは素早く容易にできるようです。さらにチームラボの展示では、映像と連動した動きを取ってしまうような仕掛けがあることや、手描きの絵を取り込むなどにアナログっぽさもあります。

ヘルスケア施設にいらっしゃる方々は簡単には「森の中で遊ぶ」ことができません。

もしチームラボが病院や福祉施設で、その中の人々に向けて、スペシャルな体験を提供するとしたら、どういうことをするのだろうと想像しました。デジタル技術ならではの、飛び抜けた発想がある気がしたのです。そうした取り組みは一部ですでに行われていると思いますが、私自身まだまだ不勉強です。デジタルと一言でいってしまいますが、アナログと対比させる構造ではないことも、もっと考えねばならないと思いました。

今後ヘルスケアアートがより注目され、求められ、有効性も認められるようになるうえで、チームラボの作品は何かヒントになりそうだと感じます。お台場のほうもぜひ見学してみたいものです!(寺井)