連続講座第5回「参加型アートを取り入れた医療環境デザイン」
8月8日(木)18:30より、連続講座第5回「参加型アートを取り入れた医療環境デザイン」が行なわれました。
講師の島津さんは、長年、医療の現場における安全で安心なホスピタリティのある空間デザインに携わっておられます。全国の病院からの依頼のため、年間250以上のフライトをこなしながら各地を飛び回っていらっしゃる島津さん。医療現場の空間づくりにおける理念と、費用をできるだけかけずに参加型アートを空間デザインに取り入れる島津さん流の取り組みについて、豊富な実例とともにお話していただきました。
伝達事項の情報があふれて貼り紙だらけになっている病院では、情報をデザインの力で整理することにより、医療現場の方々が働きやすく、患者さんにとっても気持ちの良い空間に変わりました。
地域の農産物を病院内のアートやサイン表示に活用した事例には、「地域の元気を見守る病院」として地元の方々に愛される病院づくりのヒントが詰まっていました。
参加型アートを空間づくりに取り入れることの意味を島津さんは「記憶に残していくことができるもの」と語られました。 例えば、病院の近隣の小中学校生千人が切り絵をして院内の壁のデザインを完成した事例。子どもたちは自分の切り絵が病院の壁の一部になったことを、成長した後もきっと覚えていることでしょう。子供たち、看護師さん、地域の人々にアートを介して空間づくりに参加いただくことで、関わった方々の「記憶」に残り、そこが特別な場所として生き続けていきます。
アイデアの素は、医療現場に入り、そこで働く方々から徹底的に話を聞くことだそうです。「とにかく、とことん話を聞きます。そうすると、何をすべきなのか自然に見えてきます」。
次回は8月22日(木)、「子どもの医療・療養環境とアートマネジメント」講師はNPO法人子ども健康フォーラム理事・運営委員長 株式会社安井建築設計事務所名古屋事務所副所長 篠原佳則さんです。(藤井)