連続講座第4回「ヘルスケアにおけるアートの可能性―英国の事例から」
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ブリティッシュ・カウンシル アーツ部長 湯浅真奈美さん
8月1日(木)18:30より、連続講座第4回「ヘルスケアにおけるアートの可能性―英国の事例から」が行なわれました。
講師の湯浅さんが所属のブリティッシュ・カウンシルとは、教育機会と文化交流を目指す、英国の公的な国際文化交流機関です。
英国では、アートを国民のヘルスケアに役立てる取り組みが盛んにおこなわれており、国や地域の自治体、大学研究機関などもその活動を積極的にバックアップしているそうです。
なぜ、アートなのか。アートが社会にもたらす力とは何か。湯浅さんからは、英国の美術館で、博物館で、あるいはオーケストラで行なわれている様々なプロジェクトについてご紹介いただきました。
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例えば、認知症患者とアーティストがともにアートを作り出すというマンチェスターの取り組みでは、アート活動の導入を「治療」や「処方」目的と位置付けるのではなく、活動を通じて豊かな時間を過ごしていただくこと、認知症患者と介護者の双方の生活の質の向上を目的としているそうです。こういった活動では、アーティストは認知症患者に対応する基本的なトレーニングを事前に受けます。アーティスト自身の資質としても従来型の「教える技術」よりも「引き出す力」が求められるそうです。
また、活動に必要な予算を獲得するためには、「はっきりした目標」「検証方法の明確化」が厳しく求められ、ただアートであれば良い、アーティストが関与すればよい、というわけではないという点も、湯浅さんは指摘されました。
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講義の後は、受講生の方々がグループごとに英国の事例から学べたことや感想を話し合いました。
次回は8月8日(木)、「参加型アートを取り入れた医療環境デザイン」講師は島津環境グラフィックス 代表取締役 島津勝弘さんです。(藤井)