NEWS 事務局からのお知らせ

【学習会】HYGGEから考えるヘルスケアアート 第1回(8/1)報告

学習会第1回 2022年8月1日(月)19~21時 オンライン開催
ガイダンスと森口ゆたか先生の講義、参加者からの自己紹介


・事業実行委員長の鈴木賢一先生より概要説明、森口先生の紹介
・森口ゆたか先生から講義「英国のホスピタルアートとの出会いと、
 療養環境におけるアートの役割と可能性」
・参加者の紹介(Zoom上でアンケート実施&回答の共有)
・参加者一部の方からの自己紹介
・次回の案内、課題シートの共有


この学習会はもともと定員30名を予定していましたが、参加受付を開始して1週間程で早々に定員に達したため、定員枠を倍に変更し、50名を超える参加者を迎えて開催しました。

事業実行委員長の鈴木賢一先生より概要説明、森口先生の紹介


冒頭で、実行委員長の鈴木先生からなごやヘルスケア・アートマネジメント事業の概要説明や講師である森口先生のご紹介がありました。

本事業は文化庁から助成を受け、ヘルスケア分野でのアートマネジメントを担う人材育成を目的とし実施しています。
鈴木先生は建築計画の専門家で、ナイチンゲールの「病院が備えるべき第一条件は、病院建築が患者に害を与えないこと」という言葉を引用しながら、こうしたところでアートが大事な役割を果たすのではないかと投げかけられました。そして、ホスピタルアートを日本で先駆的に実践されている森口先生をご紹介した上で、北欧のHYGGEというウェルビーイングにつながる概念を皆さんと一緒に対話をし、深めていきたいと話がありました。


森口ゆたか先生から講義「英国のホスピタルアートとの出会いと、療養環境におけるアートの役割と可能性」



続けてこの学習会の講師である近畿大学の森口ゆたか先生から、英国でのホスピタルアートとの出会いから日本国内での実践、そしてホスピタルアートにおけるアートの定義やその役割についてお話しいただきました。
ご自身が現代美術家として社会との関係性を模索する中、英国でホスピタルアートと運命的に出会い、日本帰国後にNPOを立ち上げて先駆的にこの分野を開拓し、現在はNPOだけでなく大学で学生さんたちとともに取り組むその展開は、ドラマチックであるとともにアートの力や可能性を感じさせる内容でした。また、実践の中で多くの方と協働され、空間全体やコミュニケーションにまでおよぶアートの範囲の広さも印象的でした。

(参考)講義録:2018年度シンポジウム 森口ゆたか先生「療養環境におけるアートの役割と可能性」

講義内容の一部抜粋
● そもそもアートの語源は、ラテン語でアルス、ギリシャ語ではテクネといって、「人間の技」「技術」の意味。→単に「芸術」=絵画、彫刻、音楽等を指す言葉ではない。
● ウィリアム・オスラー「Art of Medicine:医学はScience(科学)に基礎を置くアート(技)である」
● 西洋の医療と芸術の原点は教会という同じ場にあった。
● 英国でも団体によってArts for HealthやHospital Artなど呼び方が違い、主義や主張もにも違いがあるように、日本でも呼び方などが団体によって違っていてもいい。大きな目標に向かっていることが大事。
● 1999年に開催された「CHARTS’99 癒やしと健康の国際シンポジウム’99」に森口先生がArts for Healthのスタッフとして関わり、帰国後NPOを立ち上げてホスピタルアートの実践を重ねる。
● ホスピタルアートの主な役割として「定量化されない価値(=アート)の導入」がある。全てが定量化される病院に、アートという定量化できない価値を持ち込むことに意味がある。
● ホスピタルアートは、現代の医療現場では後回しにされがちな「個としての人間の尊厳」を、アートという手段を用いて回復しようとする活動。





受講生の感想


● 森口先生がおっしゃっていた「アートが個の尊厳を回復する」という言葉はとても共感いたします。病院という場所であっても、その人らしさを失わずにいるための手段がアートなのだと思いました。そのアートというのも、モノそのものというよりは大事なのは感情が揺さぶられることなのではとも思いました。

● 森口先生のホスピタルアートとの出会いの話が、面白くて笑ってしまいました。どんな組織や文化にもきっかけがあり、最初の一歩があるんだなと思うと、これから活動をしていくにあたり、勇気が湧く思いです。

● ホスピタルアートについて自分なりに整理できました。パーソンドセンター・ケアの理念を具体化するひとつの分野・実践なのかな、と思いました。

ヘルスケアアートが医療側・患者側 双方にとって”個を大切にする”ことへの架け橋になる可能性を感じています。これから学べることを楽しみにしています。


参加者一部の方からの自己紹介


Zoom上でのアンケートによって、参加者の皆さんの所在地や職業がさまざまであること、また約半数の方がヘルスケアアートに携わった経験があることを確認した上で、参加者の中から11名の方に自己紹介をしていただきました。ヘルスケアアートに関する自身の実践や研究、思いなどをうかがい、多様な専門分野や経歴を持つ方々とこれから対話できることが、いっそう楽しみになりました。


次回の案内、課題シートの共有


最後に事務局から次回(8月22日)の案内をし、課題シートの記入のお願いをして終了となりました。
次回からはいよいよ書籍『ヒュッゲの365日』を読み、グループで対話をします。


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