NEWS 事務局からのお知らせ

コロナ病棟のアート企画実施WS 第5回開催しました(9/27)

「コロナ病棟の患者さんやスタッフの皆さんにアートを届けよう」
第5回ワークショップ 2021年9月27日(月)19~21時 オンライン開催


「病院スタッフへのアンケート結果の共有と実施アートの発表」


・病院スタッフへのアンケート結果の確認
・アンケート結果の考察 講師やファシリテーターからのコメント
・実施アート案の発表とその検討過程の報告
・これまでの内容に対する質疑応答
・実施案の決定を受けて村井先生からコメント
・グループワーク前半
・グループワーク前半の報告
・グループワーク後半


病院側へのアート提案とアンケートの実施


前回9/6の第4回ワークショップ後、9/12までに各グループから2案ずつ、病院側に提案するアートを整理いただき、事務局の方で計8つのアート案をA4用紙8pの提案書にまとめ、アンケート(画像参照)とともに病院側にお届けしました。オンラインでの閲覧や回答も提案しましたが、紙の方が見ていただきやすいということで印刷物となりました。そして、9/15-22の1週間、アンケートを実施いただき、コロナ病棟に関わる医師・看護師の皆さん39名の方からアンケートにご回答をいただきました。

8つのアート提案一覧
1 自然を感じるパーテーションアート(篠原さんグループ/病室系)
2 動物が励ましてくれる日常グッズアート(篠原さんグループ/病室系)
3 森からの贈り物Ⅰ コロナ病室を「森の療養室」に気分転化する(高野さんグループ/自然系)
4 森からの贈り物Ⅱ EVホールを医療スタッフを応援する森の伝言板に(高野さんグループ/自然系)
5 デジタルアートで 病室にホッと一息つける窓を(吉岡さんグループ/デジタル系)
6 スタッフステーションにもホッと一息つける窓を(吉岡さんグループ/デジタル系)
7 癒しのイワシトルネード(鈴木先生グループ)
8 みんなで共有!ゆびさんぽ(鈴木先生グループ)

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アートの提案書PDF(約3MB)


アンケート表


アンケート裏


アンケート結果を集計した後、運営メンバーでアンケート結果をふまえて打合せをし、実施するアート案の絞り込みや内容検討をしました。そして、アンケート結果のみワークショップ参加者に事前にメールで共有し、実施案の発表は第5回ワークショップの場でしました。


病院スタッフへのアンケート結果の確認


第5回ワークショップではまず皆さんとアンケート結果の概要を確認しました。8つのアートについて作品自体の評価とスタッフの負担を5段階で評価したもの、そして導入を希望するアートをひとつ選んだ結果をグラフにしたものが下の画像になります。


アンケート結果のグラフの一部


アンケートの裏面、選択の理由や要望等の記述には、下記のようなものがありました。一部を抜粋して掲載します。


<各アートに対する記述>(賛成・反対両方とも)
:かわいい。Ptの気分が少しでも上がりそうです/負担も少ないし、患者の気持ちも、パーテーションで癒されるのではないかと思ったため/人によっては落ち着かないかもと思いました。
:スタッフから考える感染防止面からハキできる所がよい/日常的に使えるものの方が、患者さんに喜んでもらえそうだから/当院に入院する方は名古屋在住の方が多いので東山動物園とのコラボであれば地元とのつながりも感じられると思いました。
:少しでも気分転換できるものがあれば癒しになる。患者さんの状態にあわせてできることを、できる時にやってあげたい。/看護師が大変。説明が大変そう。
:個人的には好きです。/まずスタッフステーションから導入して効果をみてみては?/エレベーターホールは特にいらない。メッセージがあっても読まない人は多い。
:音響はリラックスできそうですね/機械類は病室に入れると消毒がいるのでこわれると思います。
:ナースステーション内にデジタルアートがあると良い。
:色が落ち着いたカラーで癒されそう。過酢酸を使用しても問題なければ良いかと思います。/ナースステーションでやってもらいたい。
:入院される方は20代以上なので子どものあそびのような物などは好ましくない気がします/スマホをもっていない患者もいます。いまいちやり方がわからなかった
<全体について、その他>
アートは人の心に良い影響を及すこともあれば悪く影響することもあるので難しい/エレベーターホールに冷暖房がないため、ゆっくり鑑賞したりできるスペースではない。健康体の私たちが簡単だと考えることも、コロナの患者にとって、おっくうだったり、難しく感じてしまうことも多いと思うので、極力かんたんなものがよいと思います。/どれも特になしでいいです。業務が増えそう(説明など)/メッセージを書いて頂く案は、それをお願いするのは、私達看護師なので、患者さんへ強要しているような気分になるので今イチやる気になりません。

アンケート結果の考察 講師やファシリテーターからのコメント


アンケート結果を確認した上で、東部医療センターコロナ病棟の村井医師からアンケート実施時の様子について説明をいただきました。
村井先生「ちょうどアンケート実施が第5波のさなかで患者数がすごく多く、やや厳しい意見が多くなっている傾向はあるかもしれません。今の落ち着いた時期にアンケートを実施するとまた違う声が聞けたかもしれず、そういった状況も含んで結果をご判断いただければと思います。」


その後、アンケートのデータ化をしながら事務局側で感じたことを右のスライドにして皆さんに報告しました。続けて、講師やファシリテーターの皆さんから、今回のアンケート結果を受けてのコメントをいただきました。



鈴木先生
「いちばん大変なときにアンケートをすることになり恐縮しています。医療スタッフの皆さんにとっては、唐突なアンケートとなり戸惑われたのではないでしょうか。多忙な時期と重なった為に負担への心配が先に来たかもしれません。一方で結果はそのまま受け止めるべきで、貴重なご意見をいただけたと感謝しています。」

篠原さん
「結果として私のグループの提案が高評価を得たようですが、もともとグループワークの中でできるだけキャッチーにと話し合っていたこと、加えてスタッフへの負担を減らすことは重要な検討事項としており、そういったことが功を奏したのかもしれません。
また、空調のないEVホールへの提案はあまり高評価ではないようでしたが、 あそこは患者さんが最後に通る場所であり、そこへアート展開する意義を伝えられればよかったのではないでしょうか。紙ベースでの提案であることを意識して事前に検討しておくととよかったかもしれません。」

吉岡さん
「本来であれば事前に現地確認をし、相手側とコミュニケーションを取りながら詳細を詰めたりするのですが、今回はコロナ禍等限られた条件下での提案となり難しさがあったかもしれません。今後のアートの実装の際に関係者へのヒアリングを意識的に取るなどしてフォローしていくのかなと思います。それと、篠原さんもおっしゃっていたように提案前にこのワークショップの中で指摘や改善をしておいてもよかったかも、と思いました。」

高野さん
「オンラインの限られた条件下で想像を膨らませながら一緒に企画するプロセス含め、8つのユニークな案に出会えてよい経験になりました。コロナや現場の状況で実現が難しい企画もあり反省するところもありますが、他でも展開できる企画ばかりだと思いますので、これからも育てて行きましょう。」


実施アート案の発表とその検討過程の報告


続いて、運営メンバーで実施するアートを決定したプロセスと結果の発表をしていきました。

まず、今回はコロナ病棟への提案であることから、「感染リスクコントロール」「スタッフの負担」の2つの視点から、病室というレッドゾーンへの提案の中から、3・5・8の案は実施が難しいと判断しました。
次のステップでは、先ほどの2つの視点をクリアしているか改善の余地のあるもので、「コロナ禍」「継続性」という視点も加味して絞り込みをしていきました。加えて、実施する場所として、まずはレッドゾーン、つまり病室の患者さんの向けのものと、もう1つグリーンゾーン、比較的スタッフ向けのものとを展開できればという話もしました。




そういった視点で絞り込みをした結果、まず病室への展開としては、1・2の案で決定しました。アンケート結果も高評価でしたし、実施するにあたっての問題点も少ないので、比較的スムーズに決まりました。2つの企画は連動した内容だということで、予算内でどういった展開にするかをグループで検討いただくことにしました。
続いて、グリーンゾーンへの展開は残りの4・6・7の企画をさらに絞り込みをしました。





今回、アンケート記述の中で、患者さんによるメッセージ記入は看護師から強要するで気が進まないという意見があったり、病室からのモノの移動は感染症対策面からの心配があり、4・7の企画はそこが課題となりました。また4の企画にある「森」、7の企画の「水中、魚」はデジタルコンテンツとして6の企画に吸収し発展させられるのではないか、という意見も出ました。
一方で、6のデジタルアートはコロナ禍での取り組みとしても、ヘルスケアアートの分野における今後の展開も期待が高いこと、また機器の扱いに際するスタッフの負担はオンラインの遠隔操作で軽減できることも確認し、最終的にグリーンゾーンには6のデジタルアートを4・7のコンテンツも一部吸収しながら展開することに決定しました。


これまでの内容に対する質疑応答


ここまでの運営側からの話について、参加者の皆さんからの質疑の時間を設けましたところ、アンケートの回答をされたスタッフの内訳や、予算配分についての疑問、現在の病棟の稼働率などについて質問をいただき、村井先生や事務局の方から回答をいたしました。1・2の企画は、提案の段階ではすべての病室に展開することを想定しもっと予算を必要とする内容でしたが、アンケート結果や病棟稼働率を参考に、適宜、実施数を調整いただけるようにお願いをしました。


実施案の決定を受けて村井先生からコメント


村井先生「今回のアンケート結果は、あの小さい提案書のスペースの中にどれだけメッセージ性を高められたかが、リアルに点数に反映したように思います。
実施案として決定した紙コップなどの提供は、急な入院でコップの準備などのできない方もいるので、看護師も歓迎すると思います。デジタルアートについては、スタッフからも希望する声もありましたし、気持ちが安らぐ機会になればと思います。」

今回のワークショップでは現場の医療スタッフの皆さんとの関わりが通常よりもかなり限られていますが、村井先生にはいつも前向きにご協力をいただき、そのおかげで運営ができているように思います。


グループワーク前半


その後、グループに分かれてスライドにある内容を話し合っていただきました。
このコロナ病棟へのアート企画実施ワークショップの中で、壁紙メーカーのサンゲツさんには折々に協力をいただいており(ランチマットの印刷や病室の壁紙の提供等)、この第5回にもオブザーバーとしてご参加いただいていたので、グループワークでは篠原さんのグループに入っていただきました(結果として、トイレパーテーションへのプリントでご協力をいただけることになりました)。また、村井先生には実施企画に決定した篠原さんグループ、吉岡さん(デジタル)グループに入っていただき、適宜アドバイスをいただきました。



グループワーク前半の全体への報告と運営からの連絡


前半のグループワークを終え、各グループで話したことを全体に共有し、結果的に鈴木先生グループのメンバーは個人の関心に合わせ、篠原さんグループと吉岡さんグループに適宜合流し、高野さんグループはテーマとしている「自然」を吉岡さんグループのデジタルコンテンツとしての展開を引き続きグループで検討していくことになりました。

事務局からこの場で、課題シートのURLリンクの共有し、後半のグループワークは時間の許す方は9時以降も続けて実施アートの検討をいただき、各自解散とすることにしました。
アートの実施は、寒くなりコロナ感染の拡大が心配される前、11月中にはできるよう各グループおよび運営側でスケジュール等を検討していくことにしました。

また参加者の皆さんの後半グループワーク中に、鈴木先生と事務局、村井先生とで打合せをし、今後、具体的なアートの実施にあたって現場確認と看護師さんへのヒアリングの機会が必要であること、コロナの感染状況からすると2週間ほどは現場の余裕もあるだろうことから、10/8(金)14時に東部医療センターのコロナ病棟を何人かで訪問させていただけることになりました。


次回・・・10月11日(月)第6回ワークショップ
10月8日(金)のコロナ病棟の現場見学&ヒアリングの報告と実施するアート案の詳細検討を進めます。


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