NEWS 事務局からのお知らせ

高齢者のヘルスケアアート事例紹介WS 第1回開催


病院や福祉施設などで実施されている高齢者のためのヘルスケアアートの事例を集めて、事例集サイトに掲載する事業が始まりました。

ヘルスケアアート、ホスピタルアートという分野は、これまで小児との相性が高く導入の際に効果を説明しやすいこともあって、当事業の母体である名古屋市立大学の鈴木賢一研究室でも、子ども病院や小児病棟でのアートを多く手掛けてきました。しかし大人、とくに高齢者特有の課題に対するヘルスケアアート導入の事例も全国には数多くあることが分かってきました。

そこでこのワークショップでは、高齢者に着目し、認知症や身体機能の低下、介護者の疲弊などの課題を考えながら、全国の実践を集めて、ヘルスケアアート事例集に掲載していきます


1.第1回の実施概要



日時:10月6日(水)19時~21時
場所:オンライン(zoom)
講師:山田 紀代美(名古屋市立大学大学院 看護学研究科 高齢者看護学教授)、鈴木 賢一(名古屋市立大学大学院 芸術工学研究科 教授)
参加者:15名
運営:高野、伊藤、寺井(書記)


2.鈴木先生の発表と、山田先生との対談



鈴木先生から、高齢者の医療や生活環境のアートを集めましょう、という投げかけと、考えられる課題を発表していただきました。続いて、それに対してアートは助けとなるのかどうか、お二人に意見交換していただきました。以下に、いくつかの話題を列挙します。


・ケアの場には、急性期(治療中心:病院)と慢性期(ケア&生活:施設、在宅、地域)があること。
・高齢者本人/介助者/家族などは、どのような心理状態にあるのか。
・「自分の居場所ではない」「家に帰りたい」という孤独や不安から、安心できる居場所が必要。
・アートに期待することとして、「人と人とのふれあいのツールになること」「普段、コミュニケーションがしづらい方から反応を引き出すきっかけになること」「認知症が進むと受け身になりがちなので、何か声をかけるきっかけになるといい」。
・環境についてはナイチンゲールの提唱する病床(大きな空間で光や風を取り入れる)と、現代の4人部屋との比較の話題。

受講者の感想


  • 外山義先生の「高齢者の生活空間論」研究をきっかけに改善されたこともあれば、個別のカーテンの仕切りのお話であったように、以前より今の方がプライバシー重視のため閉鎖的になってしまっているなど悪くなったこともある。
  • エビデンスも大事だけれども、高齢者がきっと求めているであろう人との交流を、アートを通して実現できたら、それはよいことだ、という話をうなずきながら聞きました。自分が高齢者になったとき、検査の数値が上がるかどうかよりも、日常に楽しさを感じられたのなら、そのアート活動は大きな意味を持つと思います。
  • 施設に暮らす高齢者の「不安」というキーワードが印象的でした。「不安」をアートというツールがどのように解決することができるのか。
  • 建築物が定義してしまう動線や生活スタイル、集団を介護するという効率的な管理体制、それらが複合的に負の効果をもたらしてしまっている現状をお聞きして、建築や介護だけではなく、社会や地域生活を取り込んだ異分野を取り込んだ複合的な「全体性」が必要なことを実感させられました。
  • 今の高齢者を支える環境は、受け手と支え手の二極論がいつの間にか前提になってしまって、「生きる意味や生きがい」がつくってくれる「住まい方」の本質が環境づくりに反映されていないことが、山積みの課題につながっています。

3.受講生の自己紹介


この日出席された受講生全員から、お一人2~5分程度の自己紹介をもらいました。出席者は、アートやデザイン関係者、インテリアや建築設計者、医療機器メーカー、ホスピタルアートディレクター、認知症やケアについての研究者など、幅広い職業でした。


4.事例集めの方法


ワークショップの第2回~第4回では、3回にわたって、高齢者を対象としたヘルスケアアートを話し合います。受講生には、話し合うための事例の収集に取り組んでいただきます。

多様な事例がありますが、まずは広く集めます。ただ「絵画が飾ってある」ということではなく、誰のために何をねらったのか「目的や効果」があるものを探して、発表の際に説明してもらいます。事務局が用意したフォーマットへの記入をお願いしました。


収集できた事例から、いくつかを選んで、ヘルスケアアート事例集に掲載します。


事例探しの概要


多様な事例について整理したスライド


事例収集は、このフォーマットに記入して発表します


次回は10月27日(水)で、事例発表の1回目。5人の方が発表してくださる予定です。


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