NEWS 事務局からのお知らせ

12/12オンライン シンポジウム開催しました

登壇者の3名。左上から郡健二郎氏、鈴木賢一氏、森合音氏


<開催概要>
シンポジウム「アートでもっと病院を元気に!! ヘルスケアアートでつながろう」
日時: 2020年12月12日(土) 14:00 - 17:15
定員: 先着300名
方法: オンライン(Zoomウェビナー)、無料、要事前申込


・講演1「病院のアートマネジメント」森 合音
・講演2「ヘルスケアアートマネジメントの展望」鈴木 賢一/なごやヘルスケア・アートマネジメント推進事業実行委員長、名古屋市立大学大学院芸術工学研究科 教授​
・ディスカッション「名古屋から発信するヘルスケアアートの将来」
 森 合音、郡 健二郎、鈴木 賢一

全国各地から、医療福祉関係者や建築・デザイン・アート関係者など多様な職種の方にご参加いただき、オンラインシンポジウム「アートでもっと病院を元気に!! ヘルスケアアートでつながろう」を開催いたしました。
最初のご講演は、四国こどもとおとなの医療センターのホスピタルアートディレクター森 合音さんによる「病院のアートマネジメント」で、現在進行形のアートプロジェクトを紹介いただきながら、全スタッフや地域の人を巻き込んだアート活動の意義や効果などをお話しいただきました。2つ目の講演では本学大学院芸術工学研究科の鈴木 賢一教授が「ヘルスケアアートマネジメントの展望」と題し、文化庁より助成を受けて実施した「ヘルスケア・アートマネジメント人材育成事業」の3年間の取り組みの報告や今後の展望をお話されました。最後に、講演のお二人に加えの郡 健二郎学長も登壇いただき、「ヘルスケアアートの将来」についてディスカッションを行いました。
オンラインで長時間に渡るシンポジウムとなりましたが、多くの方にご参加ご清聴いただき感謝しております。

講演1「病院のアートマネジメント」


病院建設時から2013年の開院後もアートディレクターとして活動されている森合音さんから、HPの改善やレストランの改修など現在進行形のプロジェクトの例を紹介いただきながら、ホスピタルアートの考え方をベースにし、医療関係者や事務スタッフ、院内外のボランティアなど多くの方と協同するその過程や関係性のデザインについてお話をうかがいました。
アーティストやアートディレクターが率先して動いたり、全てをコントロールしたりするのではなく、医療現場や地域の皆さんの声にしっかりと耳を傾け、院内にある「痛み」を多くの人と共有しながらアートを使って解決のお手伝いする丁寧な姿勢が印象的でした。それを森さんは「場を育てる」とか、「アール・テロワール」という造語(テロワールとはワインの原料となるブドウが育つ風土の意味)で表現し、アート(アール)の生まれる過程や周りの環境・循環を大切にする考え方を教えてくださいました。

アートのある場にはもともと痛みがあったと言い換えることもできる
痛みには希望が隠れている
森さんの言葉の端々に、現場の声の奥にある痛みに寄り添いつつ、痛みをアートの力で希望に変えて行こうとするやさしさと意思を感じました。


全スタッフ参加型を目指したホームページの改善活動


後半では、実践から導き出されたホスピタルアートの力や院内でのアートディレクターの役割について、お話いただきました。アートプロジェクトを閉鎖的になりがちな病院に吹く「風」に例えながら、その影響範囲は環境整備や対外的な広報の枠に収まらず、病院内外の人を横断的につなぎ、病院の価値を高め地域の文化を育むというスケールの大きなものでした。
最後は、宮沢賢治氏の「誰人もみな芸術家たる感性をなせ」という言葉を紹介いただき、アートが病院に入ることで医療スタッフの感性を刺激することで広がる可能性について言及いただき、講演を締めくくられました。




講演2「ヘルスケアアートマネジメントの展望」


前半では、名古屋市立大学病院とヘルスケアアートの関わりについてお話され、ヘルスケアアートの起源が旧病棟にあった看護師の手づくりのアートにあり、そうしたヒントをもとに新病棟の小児フロアに学生たちとカラフルな別世界をつくりあげたことをはじめ、新病棟建設後の事例として病院のアトリウムでクリスマスイベントや、名古屋市立大学芸術工学部のテキスタイルの先生による空間装飾、昨年度実施した病院エントランスの改修なども紹介いただきました。


旧小児病棟にあった看護師による手作りのアート


名古屋市立大学病院小児病棟のアート制作


2017年3月に実施された藤井先生によるアート


2019年に実施した病院外来玄関のリニューアル


そして、実践を重ねた上で見えてきた課題をあげ、ヘルスケアアートを継続し広げていくためには、施設内にアートコーディネーターの存在があること、地域にヘルスケアアートをサポートする団体があることが大切ではないか、との提言をお話しいただきました。






ヘルスケアアートのサポートをする一例として、12月に本事業で作成・公開した「ヘルスケアアート事例集」サイトも紹介いただきました。


ヘルスケアアート事例集サイト

ヘルスケアアート事例集サイト


後半では、文化庁から支援を受けて2018年から3年間実施してきた「なごやヘルスケア・アートマネジメント推進事業」の活動を振り返り、3年間で各地のキーマンとなる方のお話をうかがいながら、3年目となる2020年度はすべてがオンライン開催となり結果として全国の方とのつながりができたことをお話しいただきました。




そして、これまでの講座やシンポジウムでお話いただいた講義の一つひとつの内容を改めて確認しながら、最後にヘルスケアアートの対象や定義、そして目指す姿や行動指針を「ヘルスケアアートなごや宣言2020ーヘルスケアアートは風のように」として発表いただきました。3年間の活動を通しどうしたアウトプットをすべきかを悩んだ上で、短い詩のようなこの呼びかけ文にまとまったそうです。






ディスカッション「名古屋から発信するヘルスケアアートの将来」

登壇者
森 合音(もり あいね)
/四国こどもとおとなの医療センター ホスピタルアートディレクター、NPO法人アーツプロジェクト理事長
郡 健二郎(こおり けんじろう)/名古屋市立大学 理事長・学長
鈴木 賢一(すずき けんいち)/なごやヘルスケア・アートマネジメント推進事業実行委員長、名古屋市立大学大学院芸術工学研究科 教授

2つの講演を聞いた上でヘルスケアアートの普及に向けての課題や展望について、講演者のお二人に名古屋市立大学の郡健二郎学長に加わっていただき、ディスカッションしました。


(左から)森 合音、郡 健二郎、鈴木 賢一


はじめに森合音さんから、院内で経営者の方や現場の皆さんの声をつぶさに拾って、そこから次のアートプロジェクトをつくりあげていく仕事内容についてうかがいました。
その後、郡学長から2021年4月に名古屋市立東部・西部医療センターが名古屋市立大学病院となり、より多様な職種が必要となることを受け、森さんのような職種、部署の設置を進めたいとの前向きなご発言をいただきました。また、郡学長が名古屋市立大学病院の病院長であったときに、新病棟の建替えがあった際、環境改善とともに看護師の患者さんへの接遇が格段によくなったという実体験をあげ、医療にアートが重なることでよい影響があるとのお話もいただきました。
その他、霊安室のあり方などに話がおよんだ後、最後に全国のみなさんとのつながりを大切にしながら「ヘルスケアアートの風」を名古屋から吹かせていきたいという話題で、ディスカッションを終了しました。


SUGGEST 関連ページ