名古屋会場 |
2019年10月12日(土) 名古屋市立大学病院 大ホール |
東京会場 |
2019年10月14日(日・祝) 東京国立近代美術館 地下1階講堂 |
プログラム
開会のご挨拶
(名古屋会場)名古屋市立大学 理事長・学長 郡 健二郎
(東京会場)東京国立近代美術館 館長 加藤 敬
事業の趣旨・講師・講義について
名古屋市立大学大学院芸術工学研究科教授 鈴木 賢一
講演1「英国の医療アートディレクターの役割」
Trystan Hawkins
講演2「英国における医療とアート」
Damian Hebron
質疑応答・ディスカッション
Trystan Hawkins、Damian Hebron
パネリスト :加藤 敬(東京会場のみ)・鈴木 賢一
コーディネーター:阿部 順子
折しも大型台風19号の到来と重なり、ご来場いただけなかった方も多かったですが、何とか無事に両会場で開催することができました。英国人講師のトリスタン・ホーキンス氏、ダミアン・ヘブロン氏からの充実した講義もさることながら、ご来場の皆さまからの熱心な質問カードへの記入を受け、後半の質疑応答、ディスカッションでも日英のヘルスケア・アートマネジメントについて意欲的な発言が交わされました。
※多くの方に見ていただけるよう動画や冊子にシンポジウムの内容をまとめています。
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シンポジウムレポート
はじめに、鈴木賢一教授より本事業の説明や、本シンポジウムに至るヘルスケアアートに関わる流れ、登壇者や講義内容についてご紹介しました。
1つ目の講演はトリスタン・ホーキンス氏による「英国の医療アートディレクターの役割」でした。
アーティストとして病院環境に関心を持つホーキンス氏が20年間英国で行なってきた活動について、自身の経歴に始まり、アートによる病院環境改善の豊富な事例や研究活動等を紹介いただきました。様々なアーティストや文化施設との協働、テクノロジーの活用、エビデンスといった重要な視点が多く提示されました。
2つ目の講演ダミアン・ヘブロン氏 による「英国における医療とアート」では、ヘルスケアアートを導入する上でのマネジメント内容や、活動を広げていくための組織的政治的な働きかけ、医療福祉におけるアートの役割等が紹介されました。また、英国の抱える地域間の健康格差を解決する手段としてアートに寄せる期待や、英国におけるヘルスケアアートの歴史、世界各地の動向など、俯瞰した視点から参考になる話題が多く提示されました。
来場者の皆さまには2つの講演に対する質問カードをご記入いただき、その集められた内容をもとに質疑応答をいたしました。質問カードを通して、導入するアートを決めるプロセスやパートナー形成の手法、資金獲得の方策など現実的な問いかけが多く寄せられたことから、講演で学んだ内容を現場で活かしたいという意欲が強く感じられました。
質問カードの内容をふまえ、講師2名とパネリスト3名(※加藤敬氏は東京会場のみ)でディスカッションも実施しました。東京国立近代美術館の加藤館長からは、様々な社会問題に対しアートが持つ力が果たす効果への期待、鈴木教授からはヘルスケアアートの分野におけるマネジメント人材育成の展望が話されたほか、英国の二人からは資金の獲得方法や、ヘルスケアアート導入における実践的なアドバイスをいただきました。キーワードとしては、施設内外の協力、柔軟な発想、ねばり強い交渉、エビデンスの提示等が挙げられました。
英国のお二人が視察した日本の施設に対する感想なども共有し、このシンポジウムを機に国際的なネットワークをつくり協力していこうと語り合い、終会しました。
もともと開催案内と同時に申込が集まり、東京会場がすぐに満席になるなど、開催前からこのテーマへの高い期待を感じました。残念なことに、両日は大型台風19号の影響で、特に名古屋会場では主要な交通機関が運行中止したため、245名の申込者に対し来場できた方は45名、東京会場は135名の申込者に対し90名の参加者数でしたが、当日回収した質問カードやアンケートから、本シンポジウムが参加者にって今後の自身の活動に役立つ、充実した内容であったことがうかがえました。
来場者へのアンケートでも、「今後ヘルスケア・アートやそのマネジメントに関わってみたいと思いますか」の質問に対し、回答者(両会場計93名)の内69%(64名)が「とても思う」、30%(28名)が「少し思う」と答え、来場者に前向きな影響力を与えていることが分かりました。多くの方がアンケート内の自由記述に積極的に記入をされ、意欲関心の高さも感じられました。